ターポリン生地とは?素材の特徴や種類
ターポリンは、横断幕や懸垂幕をはじめとした屋外向けの幕や、その他さまざまな製品に使われている生地です。自分で生地を選んで幕などを制作する場合、ターポリンの特徴や適した用途を知っておくことが重要になります。
この記事では、ターポリンの基本的な概要や特徴について詳しく解説します。また、ターポリンといってもさらにいくつかの種類が存在するので、それぞれの違いについてもご紹介していきます。
ターポリンとは
ターポリン(Tarpaulin)は、ポリエステルの布を合成樹脂で挟んだ複合ビニールシートの一種です。「タールをコーティングした防水布」といった意味をもち、風雨に強く耐久性に優れている点が特長です。もとは帆布にタールを塗って防水性を確保したものであり、おもに船上での防水目的に使用されていました。
ターポリンはさまざまな生地の中でも比較的丈夫であることから屋外で広く使用されています。また、印刷の発色も良いため、広告など見た目が重要なアイテムにも活用できます。ターポリンが使われるシーンは以下のような例があります。
- デパートやショッピングセンターの壁面に取り付ける懸垂幕
- スポーツイベントでの横断幕
- 建築・工事現場の養生シート
- 看板や屋外テント
- 釣りやキャンプなどのアウトドアグッズ
- 普段使いのバッグ
ターポリンの特徴や他の布・素材との違い
ターポリンの主な特徴は、「耐久性」「防水性」「耐汚性」を備えており他の生地に比べて屋外使用や長期使用に向いているという点です。他にも、持ち運びや収納がしやすいことや、加工のしやすさから幅広い仕様で製作できることも利点です。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
耐久性がある
ターポリンは2種類の素材を使って作られています。ポリエステル繊維の両面に「ポリ塩化ビニル(PVC)※以下塩ビ」をコーティングした3層構造です。そのため、ターポリンは比較的耐久性が高い生地とされ、風雨に長時間さらされるような屋外でも常設で1年以上、場合によっては約3年ほど継続的に使うことができます。
防水性がある
ターポリンは防水性も備えています。ターポリンに使用されている塩ビ素材は雨具やレインコートに使われることが多く、先にも紹介したようにアウトドアグッズなどにも採用されています。
耐汚性がある
ターポリンは、布やレザーなどの素材に比べて耐汚性や耐薬品性にも優れています。汚れが比較的簡単にふき取れるため、屋外で汚れやすい環境でも使用しやすい生地といえます。
防炎性を備えられる
ターポリンは防炎性を備えることもできます。中材として使われる化学繊維の「ポリエステル」は、まったく燃えないというわけではありませんが比較的燃えにくい素材とされています。ターポリンの表面に施される塩ビ樹脂の常用耐熱温度は60〜80℃とされ、耐熱性は高くはありませんが、防炎加工を施すことが可能です。ターポリンに防炎加工を加えておくことで、万が一火がついても延焼を抑えることが期待できます。
収納・持ち運びがしやすい
ターポリンは丸めてもシワがつきにくく、くるくると丸めてコンパクトにすることが可能です。小さくできる分、持ち運びもしやすくなります。ただし、ターポリンの厚さや大きさなどによって重さは変わるため、実際に持ち運びに適しているかどうかは仕様により異なります。
広幅・加工性がある
ターポリンは紙や布に比べて生地の幅が広いことも特徴です。両手で持てる小さいサイズのものから横幅が数メートルを超えるようなものまで、1枚できれいに制作できます。繋ぎ合わせを行えばさらに長い仕様でも製作できます。
また、生地の周囲に縫製やハトメ打ちなどの加工が行いやすいことも利点で、用途に合わせて加工方法を変えることで利用環境に適した仕様に仕上げることができます。
重量がある
ターポリンのデメリットとしては重量が挙げられます。同じサイズの紙や布に比べると重く、先にも紹介したようにサイズ次第では持ち運びや設置が難しくなる場合もあります。設置スペースや自然環境などを考慮して、大きすぎない適切なサイズを採用することが大切です。
ターポリン生地は種類が豊富
ターポリンにはさまざまな種類があり、使用する環境や印刷に求めるクオリティなどにあわせて選ぶことができます。
一般的なターポリン
一般的なターポリンは、ポリエステル製の布を塩ビ樹脂でコーティングしており、これまで紹介してきた通り耐久性や鮮やかな発色が特徴です。防炎性が求められる場面では、防炎加工が施された仕様も用意されています。
風に強いメッシュターポリン
メッシュターポリンは、ターポリン生地にメッシュ加工を施した素材であり、細かな網目を取り入れることで風通しの良さと軽量さを実現しています。そのため、高所や風の強い場所に設置する場合に適しています。
視認性に優れたグロスターポリン
グロスターポリンは通常のターポリンに光沢を与えた素材で、鮮やかな写真印刷が可能です。グロスターポリンはテカリを抑える加工も施されているため、印刷の綺麗さと視認性を確保しています。
両面印刷ができる遮光ターポリン
遮光ターポリンは通常のターポリンを2枚重ね、その間に黒い布を挟んだ生地であり、裏面が透けない特徴を持っています。遮光性が高いため両面印刷に対応し、表と裏で異なるデザインの写真やイラストを入れることができます。
貼り付けられる吸着ターポリン
吸着ターポリンは裏面がミクロの吸盤状になっており、ガラスや壁に貼り付けて掲示できます。糊を使用していないため被着体に糊残りせず、何度も貼ってはがせる仕様です。
※「メッシュターポリン」「グロスターポリン」「遮光ターポリン」「吸着ターポリン」については、当サイトでは取り扱いがございません。
ターポリンの主な用途
冒頭でも触れたように、ターポリンはその素材の特徴や種類の豊富さからさまざまな用途で活用されています。最後に、ターポリン生地が使われる主な用途と、おすすめのターポリンの種類を紹介します。
スポーツ応援やイベントの横断幕
スポーツ応援やイベントの横断幕は、何度も屋外で使うことからターポリンがよく使用されています。何人かで手に持って応援や記念撮影に使ったり、会場のフェンスなどに結び付けて設置したりするなどの方法で活用されています。
スポーツ応援やイベント用の幕では、丈夫さと印刷の綺麗さが求められることも多いため通常のターポリンがおすすめです。
ビルや学校などに掲げる懸垂幕
懸垂幕とは、デパートや学校など建物の上部から吊り下げられている縦長の垂れ幕のことを指します。これらの懸垂幕にもターポリンがよく使われています。商業施設であればイベントや広告を掲示したり、学校であれば生徒や部活動の実績を周知したりする役割を果たします。
懸垂幕では、通常のターポリンや視認性の高いグロスターポリンの他、高所で掲示する大きな幕であることから強風対策用のメッシュターポリンも採用されています。
建築現場で使用される足場幕
足場幕とは建築現場において使用される幕のことで、現場における安全と美観を目指すための重要な役割を担っています。主な役割として以下の4点が挙げられます。
- 工事現場から発生する粉塵や落下物を飛散させない
- 作業員を外部の視線や飛来物などから守る
- 周囲の景観に配慮して、現場のイメージを向上させる
- 店舗の運営状況や建築の目的などの情報を周知する
以上の役割を果たすため、足場幕には耐久性や防水・防炎性、強度などが求められ、ターポリンが活用されています。高所での設置も多いことから、メッシュターポリンもよく使われています。
展示会や販促用のタペストリー
タペストリーは家庭のインテリアはもちろん、イベントや展示会、店舗の販促などで集客や宣伝効果などを高める目的で使用されます。用途が幅広く、ターポリン以外の生地が使われていることも多いですが、屋外で看板や店頭幕のような役割で設置する場合などにはターポリンが向いています。
通常のターポリンはもちろん、人の顔や料理の写真など訴求内容やデザインをより美しく再現したい場合は、グロスターポリンがおすすめです。
まとめ
ターポリンの耐久性や発色の良さは、さまざまな用途や場面で活用できる大きな要素です。もし現在幕やタペストリーなどの製作を考えられていて、耐久性や発色の良さを求める場合はターポリンを選んでみるのもおすすめです。