紙より強い「合成紙」とは?特徴や使用するメリットなどをご紹介

紙より強い「合成紙」とは?特徴や使用するメリットなどをご紹介

一般的な「紙」は木材パルプなど植物繊維を主原料として作られますが、「合成紙」は石油を原料とする合成樹脂から作られます。

「紙」と「合成紙」の大きな違いは「紙」は手で裂いたりちぎったりすることができますが、「合成紙」はハサミを使わなければ切ることができません。
見た目は紙に似ていますが、破れにくさなどは圧倒的に合成紙の方が上回ります。

合成紙の代表的なものとして「ユポ」と呼ばれているものがあります。「ユポ」とはどんなものなのか、その特徴と紙との違いについて詳しく解説します。

合成紙(ユポ)とは

ユポは最も普及している合成紙で、「ユポ紙」とも呼ばれています。株式会社ユポ・コーポレーションが開発した合成紙で、正式名称「ユポ」として登録商標されています。

ユポの原料は、合成樹脂「ポリプロピレン」と天然鉱物「無機充填材」を主としており、木材パルプは使用されていません。合成紙の製造法はユポの場合フィルム法合成紙となります。現在最も多く製造されているものはフィルム法合成紙ですが、その他の合成紙の製造法としてファイバー法合成紙、フィルムラミネート合成紙があります。

合成紙(ユポ)を使用するメリット

合成紙(ユポ)を使用するメリットにはどういったことがあるのでしょうか?紙との違いは何なのか、詳しく見ていきましょう。

紙よりも耐久性に優れている

合成紙(ユポ)はポリプロピレンというプラスチックフィルムから生成されているため、紙に比べて耐水性が高いという特性があります。紙は水に濡れると破れたりインクがにじんだりしてしまいますが、合成紙(ユポ)は水に濡れても形状が変化することなく、ふやけるなどの影響がありません。

また、紙は強い力で引っ張ったり、折り曲げたり、ねじったりすると手で簡単に破くことができますが、合成紙(ユポ)は手で破くことはできません。それゆえ紙よりも耐久性に優れています。

表面が均一でなめらか

合成紙(ユポ)は表面が均一でなめらかなので、コーティングやラミネート加工した場合も非常に美しい仕上がりになります。

環境に優しい

合成紙(ユポ)は、「森林資源保護」を目的に「一般紙に代わる夢の紙」として株式会社ユポ・コーポレーションが開発しました。木材パルプを一切使用しない合成紙(ユポ)はリサイクルが可能で、燃やしても有毒ガスなどは発生しません。またその製造工程においても有毒物質、環境負荷物質を使用しない環境に優しい合成紙となっています。

紙よりも軽い

合成紙(ユポ)は表面にミクロボイドと呼ばれる小さな穴が無数にあるため、重さは同じコート紙の約3分の2ほどしかありません。水に浮かせることもできます。

印刷が綺麗に仕上がる

合成紙(ユポ)は普通紙に印刷する場合と変わらず鮮明に印刷することができます。印刷方式にも幅広く対応しています。

筆記適性がある

油性ペンはもちろん、一部の商品は鉛筆でも筆記が可能です。すべったり、ひっかかったりしないなめらかな描き心地です。

合成紙(ユポ)を使用するデメリット

・一般紙と同じようにリサイクル出来ない

一般紙が種類別に収集され、溶解したのちに様々な紙製品に再加工されるのに対し、合成紙(ユポ)は水に溶けない性質があるため、一般紙と同じようにはリサイクルすることができません。

・一般紙よりもコストが高い

合成紙(ユポ)の最大のデメリットは一般紙よりもコストが高いことです。したがって大量生産には向いていません。印刷機も使えるものが限られるため、おのずと印刷料金も高くなる傾向があります。水回りや雨にさらされる場所で何度も張り替える必要がない合成紙(ユポ)を使用するなど、耐水性の高さを活かして適材適所の用途を検討することが必要です。

・印刷加工が限られる

紙と同じように印刷することができる合成紙(ユポ)ですが、熱で変形してしまったり強い力でも破れにくい性質があるため、穴あけや折り曲げたりする印刷加工が難しい場合があります。耐久性の高さは加工の面から考えるとデメリットになってしまうのです。

合成紙の用途

合成紙は身近なものにも使用されています。
合成紙の特徴である耐水性や耐久性を活かした用途をいくつかご紹介します。

・屋外ポスターやタペストリー

選挙の時期に見かける選挙ポスターは合成紙(ユポ)が使用されています。その優れた耐水性や耐久性から紙がふやけたりインクがにじんだりすることがないため、視認性が重要な選挙ポスターや屋外ポスターにも効果的な役割を発揮します。また、屋内タペストリーなどにも印刷の綺麗さからよく活用されています。

・投票用紙

選挙の投票用紙も合成紙(ユポ)が使われます。投票用紙の描き心地もなめらかで、記入後は折り曲げて投票箱に入れますが、開封して集計する際もユポ紙の特徴である折り曲げても元に戻りやすい性質が集計作業をしやすくしています。

・ラベル(シャンプーラベル、飲食物ラベルなど)

シャンプーや飲食物のラベル、冷凍食品のラベルシールなどは浴室や冷蔵、冷凍庫など水気の多い場所で使用するので、水分に強い合成紙(ユポ)が適しています。また、合成紙はプラスチックフィルムでできているため、シャンプーボトルなどのプラ製品をリサイクルする際にラベルをはがすことなくそのまま出すこともできます。

・広告ステッカー

ユポ紙は広告ステッカーとして電車やバス、タクシーの窓に貼られることもあります。合成紙(ユポ)は裏側に印刷が透けにくく、色鮮やかな印刷ができるので広告ステッカーに適しています。

まとめ

合成紙は木材パルプなどから製造された紙と比較した場合、耐水性や耐久性が強いことがメリットと言えます。デメリットとしては価格が高いことがあげられますが、一般紙では難しい選挙ポスターやシャンプーラベルなど雨や水に耐えるという合成紙の特性を活かす場面で使うと良いでしょう。
また、文字を記入することもできる合成紙は選挙の際の投票用紙にも使用されています。

水に強い、破れにくい、印刷が綺麗に仕上がるといった合成紙の魅力は多くの場面で発揮されているといって良いでしょう。